藤
ふじ / 春
晩春、淡紫の花房を垂らす蔓植物。古来、王朝の雅を象徴し、藤原氏の名にも通う。源氏物語や和歌に多く詠まれた。垂れる花房の優美さを、茶では籠花入などに掛けて愛でる。[通]
- 分類
- マメ科フジ属の落葉蔓性木本。葉は奇数羽状複葉、蝶形花が総状の花穂を垂れる
- 異名
- 二季草(ふたきぐさ)/まつみぐさ/むらさきぐさ/さのかたのはな
- 花期
- 旧暦三月。新暦では四月中旬ごろ。春と夏の二季にまたがって咲く
- 和歌
- 『万葉集』に二十一首(うち五首は春三月中)、『古今集』に四首(うち三首は春三月中)
- 茶の湯での位置
- 風炉の花。ただし薄皮を被った袋藤は、透木釜・釣釜の懸かる名残の炉に使ってよい
- 古名
- ふちかづら ── もとは蔓性植物の総称であって、固有名ではなかった
- 名所
- 大坂の野田(野田藤)/越中の多胡ノ浦/奈良・春日大社「砂ずりの藤」/埼玉・牛島の藤
深く知る ── はじめに
藤は春の花でもあり、夏の花でもある。そのどちらでもあることが、この花に「二季草」という別名を与え、さらに茶の湯では、炉と風炉とを分ける目安という役目まで負わせた。花の姿を愛でる以前に、藤は季節の境目そのものを示す花である。
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出典
伊藤敏子ほか『新版 茶花大事典』淡交社/「はじまりの茶の湯学」茶花一覧資料