茶の湯スフィア 索引 / 茶花

茶花の項目一覧

CHANOYU SPHERE ── BANSHŌ

床に入る草木。季節を告げ、その日一日だけの姿を見せる。
全 112 項目

朝顔

あさがお
朝茶事の主花  開花で時を計る

夏の早朝に開き、昼にはしぼむ一日花。朝茶事の主花とされ、客が席入りしてから、花が少しずつ開いてゆく様を、時の経過として味わう。時計のない時代、花の開き具合が茶事の時を告げた。一日で終わる命の儚さと、刻々と移ろう姿が、朝の茶席の主題となる。[通]

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紫陽花

あじさい
アジサイ科  土により色が移る

梅雨どきに咲き、土の酸性度により青から紅へ色を変える。移ろう色が無常を映す。日本原産のガクアジサイが原種。雨の季節の床に、しっとりとした風情を添える。[通]

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銀杏

いちょう
イチョウ科  生きた化石・黄金の葉

晩秋、扇形の葉が黄金に染まり散る。中生代から姿を変えぬ生きた化石。実の銀杏は食用。黄葉の散り敷くさまが、秋の終わりの席を彩る。[通]

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一種一輪

いっしゅ いちりん 総論
花は少なく  立花の豪奢

茶花は一種類、一輪を基本とする。多くを盛る立花と異なり、削ぎ落として一輪に絞ることで、その花の命が際立つ。二種以上入れる場合も、季の取り合わせに心を配り、決して飾り立てない。少なさが豊かさを生む、引き算の美の花における実践。[通]

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卯花

うのはな
アジサイ科  皐月の語源とも

初夏、純白の小花を枝いっぱいに咲かせる。卯月(四月)に咲くことから卯花、また『卯の花月』が皐月の語源ともいう。純白の小花に、初夏の清らかさを読む。垣根の花として古歌にも詠まれた。[通]

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梅擬

うめもどき
モチノキ科  実ものの代表

葉の落ちた枝に、赤い小さな実を点々とつける。葉が梅に似ることから梅擬と名づく。花でなく実を愛でる『実もの』の代表で、秋深い床に鮮やかな朱を添える。籠や竹花入に枝ごと生け、季の深まりを告げる。[通]

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うるし
ウルシ科 二面 器を塗り、紅葉も美しい

漆の樹液は器物を塗り護る塗料となり、棗や茶器を生む。晩秋には葉が鮮やかに紅葉する。道具を生む木が、秋には花ならぬ照葉で席を飾る。素材と季節の二面を負う。[通]

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遠州木槿

えんしゅう むくげ
純白の一重  清楚・茶花の好

花弁が底まで純白の、清らかな一重の木槿。底に紅のさす宗旦木槿に対し、遠州木槿は一点の濁りもない白さで知られる。涼やかで端正な白が夏の茶席を清め、朝の席によく映る。白木槿のなかでも、その澄んだ白さが格別に尊ばれる品種。[通]

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大山蓮華

おおやまれんげ
モクレン科  初風炉の最初の花

白い杯形の花を、うつむき加減に下向きに開く。清らかな白と、ほのかな香りをもつ。初風炉(五月)の最初の花とされ、その清浄さで夏の到来を迎える。深山に咲く気品ある姿が、茶人に殊に尊ばれる。[通]

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苧環

おだまき
キンポウゲ科  糸を巻く苧環に似る

うつむいて咲く青紫の花。その形が、機織りの糸を巻く苧環(おだまき)に似ることから名づく。静御前の『しづやしづ賤のおだまき繰り返し』の歌にも詠まれ、和歌の情趣を席に呼ぶ。野の風情と古歌の縁を併せもつ晩春の花。[通]

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乙女椿

おとめつばき
淡紅の重弁 姿 幾重にも重なる

淡紅の花弁が幾重にも整然と重なる、優美な椿。千重咲きの端正な姿が、乙女の名にふさわしい。早春の席に、たおやかな華やぎを添える。蕊が見えぬほど花弁が詰まる、観賞性の高い品種。[通]

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女郎花

おみなえし
オミナエシ科  秋の七草

秋の七草の一つ。細い茎の先に、黄の小花を傘状にいくつも開く。万葉以来、なよやかな女性に擬えられ和歌に詠まれた。早咲きの秋草で、立秋の気配を告げる。萩・薄・桔梗・藤袴・撫子らとともに、秋の野の取り合わせを彩る。[通]

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海棠

かいどう
バラ科  楊貴妃の故事

紅白半ばの半重弁の花を、枝垂れる枝にうつむき加減に開く。『眠れる花』の異名は、玄宗皇帝が酔った楊貴妃を海棠に喩えた故事による。うつむく花姿に眠るような艶を読む。晩春の床に艶やかさを添える。[通]

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帰り花

かえりばな
季はずれに咲く花  名残のはかなさ

小春日和に誘われ、季はずれにふと咲く花。狂い咲き・返り咲きともいう。本来の季を過ぎて咲くその姿に、名残のはかなさと、時の移ろいの不思議を読む。茶人はこれを愛で、晩秋から初冬の床に侘びた情趣を見出す。[通]

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杜若

かきつばた
アヤメ科 象徴 伊勢物語・八橋

水辺に青紫の花を開く。伊勢物語の東下り「かきつばた」の折句(から衣…)で名高く、尾形光琳の燕子花図屏風にも描かれた。古典と絵画の記憶を負う、初夏の水辺の花。[通]

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かしわ
ブナ科 象徴 新葉が出るまで古葉が落ちぬ

新しい葉が育つまで古い葉が落ちないことから、家系の継承の象徴とされ、端午の柏餅に用いる。葉そのものを清浄の器として食物を盛る習いもある。葉の緑が初夏の清新を席に添える。[通]

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かじ
クワ科  花でなく葉が主役

花ではなく葉が主役という珍しい茶花。葉裏の細毛が毛氈に貼りつき、紙以前は葉に文字を書いた。七夕には梶の葉に願いを書いて供える、短冊より古い作法があった。織女を『梶の葉姫』とも呼ぶ。五月の席に入れて夏・七夕を呼び込む。紙以前の世界の記憶を宿す葉。[通]

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片栗

かたくり
ユリ科 姿 うつむいて咲く紫紅の花

春の落葉林の下に、うつむき加減に紫紅の花を開く。可憐で短命な春の花。根からは良質の澱粉(かたくり粉)が採れた。ひそやかな野の風情が茶花に適う。[通]

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烏瓜

からすうり
ウリ科  朱の実を蔓に

晩秋から冬、枯れた蔓に朱色の卵形の実を吊るす。葉の落ちた野に鮮やかな朱が映え、侘びた冬の景色に一点の彩りを添える。実物(みもの)として籠や竹花入に蔓ごと生け、季の名残と移ろいを床に告げる。枯れの中の朱が冬を彩る。[通]

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寒菊

かんぎく
キク科  霜の頃に咲く

霜の降りる初冬まで咲き残る、小ぶりの菊。多くの花が枯れた寒い季節に、ひそやかに黄や白の花を保つ。その健気な姿が、冷えた茶席に静かな彩りを添える。菊は重陽の節句の花でもあり、長寿を象徴する。冬を迎える床の名残の花。[通]

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寒牡丹

かんぼたん
ボタン科  藁囲いに咲く

冬に花を開くよう仕立てた牡丹。藁の囲い(藁ぼっち)のなかに、雪を背に大輪を咲かせる姿は、冬の庭の華やぎとして尊ばれる。本来は初夏の花である牡丹を冬に咲かせる趣向に、季を超える風流がある。真冬の床に豪奢な彩りを添える。[通]

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桔梗

ききょう
キキョウ科 象徴 秋の七草・凛とした青紫

秋の七草の一。星形の青紫の花が凛と咲く。万葉の『朝顔』は桔梗を指すとの説が有力。武家の家紋にも好まれた。清楚な姿が茶花に最も適う花の一つ。[通]

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季節の茶花

きせつの ちゃばな 総論
原理 季節が軸 扱い 月を断定せず季節感で取り合わせる

茶花は季節とともに移ろう。何月何日の花と機械的に決まるのではなく、その頃の季節感で取り合わせる。早春の梅から夏の蓮、晩秋の照葉、冬の椿まで、季をめぐって草木を据える。あえて月を断じず、近い季節の花を候補として挙げるのが茶席の実際にもかなう。季節そのものが分節の原理となる、最も明快な品詞。[通]

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嫌い花

きらいばな 総論
茶席で避ける花  香の強い花・棘・毒 chabana toriawase

茶席に用いるのを避ける花。香りの強い沈丁花・梔子・水仙(席により)や、棘のある薔薇、毒のある花、名や姿が不吉とされる花などを忌む。香は茶や炭の香りを妨げ、棘は侘びの風情に合わない。何を入れるかと同じく、何を入れないかにも亭主の心が表れる。[通]

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金盞花

きんせんか
キク科  金の盞(さかずき)の花

冬から春、金色の杯のような花を開く。長く咲くことから長春花とも。寒中に明るい黄を添え、新春の床にも用いる。乏しい冬の彩りを補う。[通]

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祇園守

ぎおんまもり
白に芯の盛り上がり  祇園祭のころ咲く

白い花弁の中心の蕊が盛り上がり、八坂神社(祇園社)の守り札の形に見立てられた木槿。京の祇園祭(七月)のころに咲くことからこの名がある。白木槿の一種で、芯のふくらむ独特の姿が涼を呼ぶ。京の夏の風物と結びついた、由緒ある茶花。[通]

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鶏頭

けいとう
晩夏〜初秋 姿 炎のような花穂

鶏のとさかに似た花穂をもつ、晩夏から初秋の花。燃えるような朱や、枯れゆく深紅が、夏の終わりの哀感を漂わせる。庭に咲く素朴な花を見立てる茶花の心にかない、過ぎゆく季節の移ろいを床に告げる。[通]

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紅梅

こうばい
バラ科  白梅と対をなす紅の梅

白梅と並び、寒中に紅の花を開く。白梅の清に対し、紅梅は華やぎを添える。源氏物語にも巻名として現れ、王朝の春の彩り。茶では白梅とともに早春を告げる。[通]

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河骨

こうほね
スイレン科  水辺に黄花

水辺や池に生え、夏に黄色い小花を水上に開く。白い地下茎が骨のように見えることから河骨(かわほね)と名づく。涼を呼ぶ水生植物として、夏の茶席に水の趣を運ぶ。葉とともに生けて、盛夏の床に清涼をもたらす。[通]

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小手毬

こでまり
バラ科 姿 白小花の毬

小さな白花が毬のように群れて咲き、枝垂れる枝に連なる。真白の小花が集まるまろやかな毬が、晩春の床に愛らしい彩りを添える。雪柳と似るが、花が毬状にまとまる点で異なる。[通]

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辛夷

こぶし
モクレン科 姿 白い大花

筆の穂のような蕾(苞)から、白い大きな花を開く。早春の野山を白く彩り、農事の目安ともされた。開き切る前の、蕾のうちに一枝挿すのが茶花の心得。枝ものとして春の床に大ぶりの白を運ぶ。[通]

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鷺草

さぎそう
ラン科 姿 白鷺が翼を広げた形

白鷺が翼を広げて飛ぶような、純白の花を開く。湿地に咲く夏のラン。翔ぶ鷺のような花に涼を読む。その精巧で涼やかな姿が、盛夏の茶席に清涼をもたらす。[通]

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さくら
バラ科 象徴 花の代名詞・うつろい

日本で「花」といえば桜を指すほどの花。咲き満ちてすぐ散る潔さが、無常とうつろいの美意識の中心に据えられた。ただし茶席では、満開を誇る花は避け、一枝のつぼみや散り際を慎ましく扱うことが多い。華やかさより移ろいを尊ぶ。[通]

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桜草

さくらそう
サクラソウ科  江戸の園芸

桜に似た淡紅の可憐な花を、株立ちに開く。江戸期に栽培が大流行し、数多の品種が生まれた。桜に似て小さく、淡紅のいろが床に春を添える。野の風情と園芸の趣を併せもつ晩春の花。[通]

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山茶花

さざんか
ツバキ科  椿に似て一足早く咲く

初冬、椿に先がけて咲く。椿が花ごと落ちるのに対し、山茶花は花弁が一枚ずつ散る。冬の訪れを告げる花として、炉開きの頃の席に据える。[通]

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山帰来

さんきらい
サルトリイバラ科  赤い実の蔓

蔓の先に赤い実を球状につける。山に分け入った病人がこの根で癒え山を帰り来たという伝えから名づくとも。実物として、蔓の動きを生かし名残の床に生ける。赤い実と曲がる蔓が、秋の終わりの景を作る。[通]

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山茱萸

さんしゅゆ
ミズキ科 別名 春黄金花

葉に先がけ、枝いっぱいに黄の小花をつける。『春黄金花(はるこがねばな)』の別名のとおり、枝を染める黄に芽吹きの勢いを読む。実は薬用にもなる。枝ものとして、早春の床を明るく彩る。[通]

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芍薬

しゃくやく
ボタン科  牡丹と並ぶ豊麗な花

初夏、豊かな大輪を開く。牡丹が木なら芍薬は草。『立てば芍薬』と美人に擬えられた。根は生薬。華麗さゆえ茶席では扱いを抑えるが、初夏の床に品を添える。[通]

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秋海棠

しゅうかいどう
シュウカイドウ科  しっとりとした淡紅

秋、淡紅の花をうつむき加減に咲かせる。海棠(春の木)に対し秋に咲くゆえの名。中国渡来の文人趣味の花。湿りを帯びた風情が、秋の茶席にしっとりと合う。[通]

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秋明菊

しゅうめいぎく
キンポウゲ科 別名 貴船菊

白や淡紅の清楚な花を、細い茎の先に開く。京の貴船に多いことから貴船菊とも呼ぶ。菊と名がつくがキンポウゲの仲間。楚々とした風情が秋の床に適い、仲秋の席を品よく彩る。中国渡来で古く帰化した。[通]

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菖蒲

しょうぶ
ショウブ科/アヤメ科と混同注意 象徴 端午の節句・邪気祓い

端午の節句に菖蒲湯として邪気を祓う、香り高い葉の植物。剣状の葉が尚武に通じ、男児の節句と結びついた。初夏の清冽を象徴する。[通]

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白玉椿

しらたまつばき
純白の一重  新年の席を清める

花弁が白玉のように丸くまとまる、純白の一重椿。新年の席を清める椿として尊ばれ、開炉から春まで茶花の主役を務める。一輪で席が改まるほどの清浄感をもつ。椿のなかでも、その白さと端正さで茶人に最も好まれる品種の一つ。[通]

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白侘助

しろわびすけ
純白の一重・猪口咲き  茶花の定番

小ぶりで楚々とした、純白の侘助椿。一重の猪口咲きで、侘びの風情をそのまま体す。白玉椿よりさらに小さく慎ましく、茶花の椿として最も使い勝手のよい定番。蕾を一輪、清楚に生ける。[通]

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沈丁花

じんちょうげ
ジンチョウゲ科  強い芳香で春を告げる

早春、強く甘い香りで春の到来を告げる。沈香と丁子に擬えた名のとおり、香木のごとき芳香をもつ。花の姿より香で愛でられ、茶では早春の床に淡く据える。[通]

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水仙

すいせん
ヒガンバナ科 象徴 雪中花・清冽

寒中、清楚な白と黄の花を凛と立て、気高い香を放つ。雪中花とも呼ばれ、厳冬の清冽を体す。一茎一花の姿が茶花に好まれ、冬の床を清める。[通]

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睡蓮

すいれん
スイレン科  水面に浮く

水面に浮かんで咲き、朝に開き昼には閉じる水の花。眠るように花を閉じることから睡蓮と名づく。水に浮く花に、暑さのなかの静けさを読む。蓮と対をなす水生の花として、夏の床に涼を運ぶ。[通]

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すすき
イネ科 象徴 秋の七草・月見

秋の野に穂を揺らす。秋の七草の一で、月見には欠かせない。実りの稲穂に擬えて供えられた。枯れゆく穂の風情が、名残の季の侘びと響く。[通]

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西王母椿

せいおうぼつばき
淡桃のふくよか  仙女・西王母に因む

淡い桃色のふくよかな花を開く椿。中国の仙女・西王母にちなむ吉祥の銘をもち、めでたい正月の席を温める。まるみのある桃色に、新春の祝意を読む。早咲きで、冬から早春の床に好まれる名椿。[通]

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節分草

せつぶんそう
キンポウゲ科  節分の頃

節分の頃に咲く、小さな白い花。落葉樹の林に群れ咲く早春の野の使者。足元に咲く楚々とした小花に、季節の節目を読む。春の到来を最も早く告げる、ひそやかな茶花。[通]

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千両

せんりょう
センリョウ科  歳末の吉祥

葉の上に赤い実を点々とつける。万両とともに、千両という名がめでたく、歳末から正月の吉祥の実ものとして床を飾る。緑の葉に映える赤い実が、冬の床に祝意と彩りを添える。実を愛でる冬の代表的茶花。[通]

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宗旦木槿

そうたん むくげ
盛夏〜晩夏  千宗旦が愛す

白い花弁の底が紅にぼかされる一重の木槿で、千宗旦が好んだことから宗旦木槿と呼ばれる。朝に咲き夕に萎む一日花で、その儚さが一期一会の心に通う。涼やかな白が夏の茶席を清める。木槿のなかでも茶花として最も尊ばれる品種。[通]

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蕎麦

そば
タデ科  白い小花・救荒作物

秋、白い小花を一面に咲かせる。痩せ地でも育つ救荒作物として人を支え、実は蕎麦切りとなる。花の素朴さと、食を支えた歴史を負う。野の秋を席に運ぶ。[通]

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太郎庵椿

たろうあんつばき
淡桃の一重  名古屋の茶人の庵号

淡い桃色の一重の椿。名古屋の茶人の庵号『太郎庵』に由来する、正月らしい趣の椿。名にゆかりを負う淡き桃色が、新年の床を品よく彩る。茶人の好みから広まった、由緒ある品種。[通]

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太郎冠者椿

たろうかじゃつばき
淡い紫紅の一重  侘助系の親

淡い紫紅の一重の花を開く椿。多くの侘助系の品種の親とされ、有楽椿(うらくつばき)とも呼ばれる。織田有楽斎が愛したと伝わる。冬の茶花の名花で、その渋い紫紅が侘びの席に深い趣を添える。[通]

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茶の花

ちゃのはな
ツバキ科 象徴 茶の木そのものの花

初冬、茶の木が白い小花を下向きに開く。椿の近縁。茶を生む木の花を茶席に生けることには、源を尊ぶ趣がある。ひそやかな白が炉の季にふさわしい。[通]

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茶花

ちゃばな 総論
原則 花は野にあるように 位置 茶室で唯一の生きて移ろうもの

茶席に生ける花。豪華に活けるのではなく、野にあるそのままの姿を尊ぶ。茶室のなかで唯一、生きて時々刻々と移ろうものとして、その日の季節と一会を映す。茶花を生けるとは、美しいから挿すのではなく、その草木が背負ってきた意味を読み、季節と席の趣旨に取り合わせること。花に込められた物語を読む営みである。[通]

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椿

つばき
ツバキ科 位置 茶花の王・冬の主花

晩秋から春まで咲き継ぐ、茶花の王。とりわけ炉の季の主花とされ、つぼみがちの一輪を清楚に生ける。侘助・白玉・有楽など茶人好みの品種が多い。花ごと落ちる潔さも尊ばれる。冬の茶席に欠かせない。[通]

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椿は茶花の王

つばき は ちゃばな の おう 総論
茶花の筆頭  冬〜早春

椿は茶花の中で別格とされ『茶花の王』と呼ばれる。種類が極めて多く、侘助(わびすけ)・白玉・数寄屋など茶人好みの品種があり、蕾の固いものを一輪、咲く直前に生ける。葉の照りと花の清楚さが侘びの席に最も映る。利休も椿を重んじた。冬から春の茶席の主役。[通]

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露草

つゆくさ
ツユクサ科  澄んだ青の小花

朝に咲き、昼にはしぼむ青の小花。露を含んだ涼やかな青が、夏の終わりから秋の野を彩る。朝顔と同じく朝の茶席に映え、その儚さが無常を体す。古名を月草といい、染料にも用いられた。野の風情ゆたかな花。[通]

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石蕗

つわぶき
キク科  艶葉と黄花

初冬、艶のある厚い葉のあいだから黄の花を立てる。花の少ない季に貴重な彩り。海辺や庭の陰に強く、しぶとく咲く。冬枯れの席に明るさを添える。[通]

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鉄線

てっせん
キンポウゲ科 姿 蔓に大輪

蔓性の茎が針金のように細く強いことから鉄線と呼ぶ。初夏、蔓の先に紫や白の大輪を開く。蔓物の動きと花の品格を併せもち、籠花入によく映る。中国渡来で、その清楚な姿が茶人に愛された。蔓の線が空間に動きを生む夏の花。[通]

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照葉

てりは
紅葉しはじめた葉  枝もの・名残

紅葉しはじめて艶を帯びた葉。花でなく、色づく葉を一枝床に入れて、錦の季の到来を先取りする。実物・枝ものとして名残の茶事に好まれ、過ぎゆく秋の移ろいを静かに告げる。葉の美を愛でる茶花の心。[通]

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なずな

なずな
新春・七草  路傍の侘び

春の七草の一つ、ぺんぺん草とも呼ばれる路傍の雑草。名もなき草を茶花とするのは、華やかな花よりも、慎ましく野にある命を尊ぶ侘びの心の極み。新春の清新な席に、あえて素朴な一草を生ける。見立ての思想が最も澄んだ形で表れる茶花。[通]

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夏椿

なつつばき
ツバキ科 別名 沙羅

白い五弁の花を朝に開き、夕には落とす一日花。沙羅(さら)とも呼ばれ、仏教の沙羅双樹に擬えられる。朝と夕で完結するはかなさが、無常を体す。椿に似た清楚な白が、夏の朝の茶席を清める。[通]

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撫子

なでしこ
ナデシコ科  秋の七草・大和撫子

秋の七草の一つ。繊細に切れ込んだ花弁の淡紅の花。撫でし子の名のとおり可憐で、『大和撫子』は清楚な女性の例えとなった。万葉から愛され、慎ましくも華のある姿が秋の床に映る。野の七草の彩りを添える。[通]

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七草

ななくさ
各種 象徴 春の七草・無病息災

芹・薺・御形・繁縷・仏の座・菘・蘿蔔の春の七草。正月七日に粥として食し、一年の無病息災を祈る。野の若菜を食する古習で、食と季節の結節点。[通]

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菜の花

なのはな
アブラナ科 象徴 春の野・利休忌

春の野を黄に染める。利休の忌日(三月)にちなみ、利休忌の供花として菜の花を用いる習いがある。食用の菜でもあり、春の懐石にも上る。野の春そのものを席に運ぶ。[通]

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南天

なんてん
メギ科 象徴 難を転ず・赤い実

冬、赤い実を房に結ぶ。『難を転ずる』に音が通じ、厄除け・吉祥とされた。雪に映える赤が冬の床を彩り、正月飾りにも用いる。実と葉で冬を告げる。[通]

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錦木

にしきぎ
ニシキギ科  紅葉と実が錦の如し

燃えるような紅葉と、枝につく赤い実が美しく、錦の名を負う。枝に翼状の張り出しをもつ独特の姿。紅葉と実を同時に愛でられ、晩秋の床に錦の季を凝縮する。世界三大紅葉樹の一つともいわれる。[通]

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野菊

のぎく
キク科  名残の野趣

野に咲く素朴な菊の総称。栽培菊の華やかさとは対照的に、慎ましい一重の花が秋の野の風情をそのまま床に運ぶ。名残の季の野趣を表す花として、花は野にあるようにという茶花の心に深くかなう。[通]

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はぎ
マメ科 象徴 秋の七草の筆頭・万葉第一の花

秋の七草の筆頭。枝先に紅紫の小花を連ね、しなやかに枝垂れる。万葉集で最も多く詠まれた花。こぼれるように咲く風情が、秋の侘びを体す。おはぎの名の由来。[通]

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白梅

はくばい
バラ科 象徴 寒中に先がけて咲く

寒気の残るうちに、葉に先立って花を開き、清冽な香を放つ。百花に先がけて咲くことから、気高さ・先駆の象徴とされた。中国渡来の文人趣味とともに尊ばれ、茶席では早春の床に香り高く据えられる。[通]

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はす
ハス科 象徴 泥中より清浄を開く

泥の中から茎を伸ばし、汚れに染まらぬ清らかな花を開く。その生態ゆえ、インドの豊穣神から仏の浄土まで、生命と再生の象徴を一身に背負ってきた。早朝に開き昼には閉じる。茶では夏の朝の茶事に、葉や蕾を清浄の象徴として用いる。泥より出でて泥に染まらぬ花。[通]

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初嵐椿

はつあらしつばき
白の一重  開炉の季を飾る

白い清らかな一重の花を開く椿。初嵐の名のとおり、秋から冬へ移る開炉の頃を飾る。炉開きという茶人の正月の席に、その清楚な白がふさわしい。蕾を一輪、咲く直前に生ける、冬のはじめの名椿。[通]

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花は野にあるように

はな は の に あるように 総論
利休の教え  作為を排す

利休が説いたとされる茶花の根本。野に咲くそのままの姿を生けよ、作り込むなという教え。豪奢な立花(りっか)とは正反対に、一輪を無造作に投げ入れたように生ける。花そのものの命を、人の作為で損なわない。茶花の最も大切な心得として、流派を超えて受け継がれる。[通]

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花筏

はないかだ
ミズキ科  葉の上に花が乗る見立て

葉の真ん中に、花がちょこんと乗ったように咲く。その姿を、水に浮かぶ筏に花を乗せたと見立てて花筏と名づく。葉の上の花に、見立ての妙を味わう。珍しい姿が茶人の興を引く、晩春の茶花。[通]

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葉牡丹

はぼたん
アブラナ科  葉を牡丹に見立てる

幾重にも巻く葉を、牡丹の花に見立てた冬の彩り。花の少ない冬から正月にかけて、紅白の葉の重なりが床にめでたさを添える。花でなく葉の重なりに、めでたさを読む。見立ての心が表れた冬の茶花。[通]

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貝母

ばいも
ユリ科 別名 編笠百合

網目模様の釣鐘形の花を、下向きに開く。編笠百合(あみがさゆり)とも呼ぶ。うつむく網目の花に、楚々とした風情を読む。中国渡来の薬草で、その地味で品ある姿が茶花に好まれる。[通]

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檜扇

ひおうぎ
アヤメ科  葉が檜扇に似る  祇園祭の花

葉が檜の薄板を綴じた扇(檜扇)のように平たく広がることから名づく。夏に朱に斑点の花を開き、黒い種子は『ぬばたま』として和歌の枕詞となった。京の祇園祭には檜扇を生ける習いがある。晩夏の床に古雅な趣を添える。[通]

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彼岸花

ひがんばな
ヒガンバナ科 別名 曼珠沙華

秋の彼岸の頃、葉のない茎に燃えるような紅の花を開く。曼珠沙華は天上の花の意の仏語。墓地や畦に咲き、死と結びつくため、茶花としては扱いを慎む。[通]

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瓢箪

ひょうたん
ウリ科  夕に開く一日花  熟して器になる

夕顔と同じウリ科の蔓草。花は夕暮れに白く開き、翌朝にはしぼむ一日花である。その実は熟して皮が堅くなると、くりぬかれて花入や炭斗になる。散る花と、残って器になる実。一つの草木が、はかなさと用の両方を引き受ける。利休の黒い瓢花入は、論語の高弟・顔回の名を負う。[通]

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昼顔

ひるがお
ヒルガオ科  昼に咲く野の花

朝顔と対をなし、昼に淡紅の花を開く野の蔓草。栽培されず、野にひそやかに咲く。朝顔・夕顔・夜顔と咲く時刻で名を分かつ一群の一。野趣を茶に運ぶ。[通]

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未央柳

びようやなぎ
オトギリソウ科 姿 長い雄しべ

黄の五弁花の中央から、長い雄しべを噴水のように広げる。柳のようにしなう枝につく。細い雄しべの揺れに涼風を読む。中国渡来で、白居易の詩『長恨歌』の未央(びおう)宮にちなむ名。盛夏の床に涼を添える。[通]

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蕗の薹

ふきのとう
キク科 象徴 春の先触れ・ほろ苦さ

雪解けの地から最も早く顔を出す山菜。ほろ苦い春の味として食にもなり、芽吹きの力を体す。茶では早春の野の趣を席に運ぶ。食と花の境にある草。[通]

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福寿草

ふくじゅそう
キンポウゲ科  幸福と長寿を寿ぐ

雪の残るころ、黄金色の花を地際に開く。名が福と寿を寿ぐため、正月の床に飾られ、新春を象徴する花とされた。本来の開花は早春だが、促成して正月に用いる。寒さのなかに春の兆しを告げる。[通]

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ふじ
マメ科 象徴 王朝の雅・藤原氏

晩春、淡紫の花房を垂らす蔓植物。古来、王朝の雅を象徴し、藤原氏の名にも通う。源氏物語や和歌に多く詠まれた。垂れる花房の優美さを、茶では籠花入などに掛けて愛でる。[通]

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藤袴

ふじばかま
キク科  秋の七草

秋の七草の一つ。淡い紫の小花を房状に開き、乾くと桜餅のような芳香を放つ。万葉以来、秋を代表する草花として和歌に詠まれた。萩・薄・桔梗らとともに、秋の野の取り合わせに欠かせない。古典の情趣を秋の床に運ぶ。[通]

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芙蓉

ふよう
アオイ科 象徴 美人の比喩・一日花

晩夏から初秋、淡紅の大輪を一日花として咲き継ぐ。木槿の近縁。美しい女性を芙蓉に擬えた。夕に紅を増す酔芙蓉も知られる。秋の気配を含んだ夏の花。[通]

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蛍袋

ほたるぶくろ
キキョウ科  蛍を入れた子の遊び

釣鐘形の花を、うつむき加減に下げる。子どもが花の袋に蛍を入れて遊んだことから名づくという。花の袋に夏の夜の遊びを思う。野の風情ゆたかな姿が、初夏の床に涼を呼ぶ。[通]

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杜鵑草

ほととぎす
ユリ科  斑紋が鳥のホトトギスの胸に似る

晩秋、白地に紫の斑のある花を開く。花の斑紋が鳥ホトトギスの胸の模様に似るゆえの名。日本の山野に自生し、わびた風情で茶花に好まれる。[通]

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木瓜

ぼけ
バラ科  朱・白・絞り

朱・白・絞りの五弁を、早春から枝に開く。素朴な五弁に野の春を読む。枝ものとして、また実物としても茶花に親しまれる。やや棘があるが、その野趣ある姿が床に春を呼ぶ。[通]

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牡丹

ぼたん
ボタン科 象徴 花の王・富貴

晩春、木に大輪を開く。中国で『花の王』とされ、富貴の象徴。周敦頤『愛蓮説』では富貴の花として、蓮(君子)と対置された。豪奢ゆえ茶では慎重に扱う。[通]

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まつ
マツ科 象徴 常磐・長寿・正月

常緑で枯れぬことから、長寿と不変の象徴とされ、慶事と正月の床を飾る。結松・若松など扱いに格がある。初釜の床に、竹梅とともに春を寿ぐ。[通]

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満作

まんさく
マンサク科  『まず咲く』が由来とも

早春、ほかに先がけて黄色いひも状の花を咲かせる。『まず咲く』が名の由来ともいう。葉に先立つ黄の花に、春の先陣を読む。枝ものとして、早春の床に明るさを運ぶ。[通]

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水引

みずひき
タデ科 姿 細い穂に紅の点々

細く長い穂に、紅の小花を点々とつける。その姿を、祝儀の水引に見立てて名づく。秋草の名脇役として、主役の花に添えて野の風情を深める。地味ながら、線の動きが取り合わせに趣を生む。[通]

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都忘れ

みやこわすれ
キク科  承久の乱の故事

淡い紫青の可憐な野菊。承久の乱に敗れ佐渡に流された順徳上皇が、この花を見て都への思いを忘れたという故事から名づくと伝わる。慎ましい色と姿が侘びの席に適い、晩春から初夏の床を静かに彩る。哀話を負う名が花に深みを添える。[通]

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妙蓮寺椿

みょうれんじつばき
紅の一重  京・妙蓮寺

紅一重の端正な花を開く椿。京の妙蓮寺に古木があることから名づく。開炉の頃から咲き継ぎ、冬を通じて茶席を彩る。早咲きで花期が長く、紅椿の代表として親しまれる。[通]

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木槿

むくげ
一日花を咲き継ぐ 品種 底紅・白・遠州・祇園守

夏、朝に開き夕にしぼむ一日花を、木全体では夏中咲き継ぐ。一輪の儚さと、咲き続ける生命力を併せもつ。夏茶花として最も尊ばれる花の一つ。品種が多く、底紅の宗旦木槿、純白の遠州木槿、祇園祭のころ咲く祇園守など、白い木槿が茶席に好まれる。[通]

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結柳

むすびやなぎ
初釜の床  一年の祈りを結ぶ

初釜の床に、青竹の花入から長く垂らす柳。先を輪に結び、新年の祈りをこめる。長く垂れる柳に一年の願いを結ぶ。芽吹きの力と延命長寿を象徴し、初釜という年の初めの席に欠かせない。[通]

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むらさき
ムラサキ科 価値 花は白く根に在り

花は白く小さいが、価値はその根にある。根から高貴な紫の染料が採れ、『江戸紫』として珍重された。武蔵野の名高い群生地は今や幻となった。茶では花そのものより、帛紗や仕覆の裂地の『紫』という色として生きる。根に秘めた色で千年、人の世を彩った草。[通]

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紅葉

もみじ
ムクロジ科 象徴 錦秋・名残

晩秋、葉が紅に染まる。花ではなく照葉を愛でる。散りゆく紅葉は名残の季の象徴で、名残の茶事の床を彩る。枯れゆくものに美を見出す侘びの心が映る。[通]

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山吹

やまぶき
晩春  太田道灌の故事

晩春、山野に咲く鮮やかな黄の花。枝垂れる枝に連なって咲く。実をつけない八重山吹に寄せた『七重八重花は咲けども山吹の実の一つだに無きぞ悲しき』の古歌で知られ、和歌の情趣を茶席に呼ぶ。瑞々しい黄が晩春の床を明るく彩る。[通]

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雪柳

ゆきやなぎ
バラ科 姿 枝垂れに白小花

細い枝に、雪のように小さな白花を無数に連ねて枝垂れる。柳のようにしなう枝に春の雪を散らしたような風情から名づく。一枝の流れるような線が、茶席の床に春の躍動を運ぶ。野にある軽やかさが茶花に好まれる。[通]

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柚子

ゆず
ミカン科 象徴 冬至・口切の香

冬、黄の実を結び、清冽な香を放つ。冬至の柚子湯で邪気を祓う。炉開き・口切の季の懐石に香を添える。花ではなく実と香で冬を告げる。[通]

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百合

ゆり
ユリ科  清楚な香りと姿

初夏から夏、清楚な大輪を開き、強い香を放つ。笹百合・山百合など野の百合が茶に適う。香が強いため席では控えめに、つぼみがちに据える。[通]

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利休朝顔の逸話

りきゅう あさがお の いつわ
後世に作られた逸話 主題 一輪に凝縮する美

利休の庭の朝顔を見たいと訪れた秀吉に、利休は庭の花をすべて摘み、茶室にただ一輪だけ生けて迎えた——という名高い物語。引き算の美を語る話として広く親しまれるが、これは後世に作られた逸話であり、利休在世の確かな史料には見えない。渡来当初の朝顔は小ぶりで、今の大輪の朝顔を想像するのも誤り。話の教訓と史実は分けて味わいたい。[逸話/後世]

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利休梅

りきゅうばい
バラ科 姿 純白の五弁

晩春に純白の五弁花を開く灌木。梅に似た清楚な花姿と、名に利休を負うことから茶花に親しまれる。中国渡来で、明治以降に広まった。清らかな白五弁に、名の由来を思う。晩春の床を清める。[通]

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竜胆

りんどう
リンドウ科 象徴 深い青・秋の終わり

秋深く、青紫の筒状の花を開く。根は生薬(竜胆=苦い胆の意)。凛とした青が秋の終わりを告げる。気品ある姿が茶花に好まれる。[通]

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蝋梅

ろうばい
ロウバイ科  蝋細工のような半透明の黄花と香

寒中、蝋を引いたような半透明の黄花を開き、甘い香を放つ。梅に似て梅にあらず。花の乏しい厳冬に咲き、清香で席を満たす。寒中の床に春を待つ心を託す。[通]

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若菜

わかな
各種 象徴 新春の生命力・七草

早春に芽吹く食用の若い菜。新春の生命力を体し、正月の床や懐石に用いる。源氏物語『若菜』の巻名にもなり、若さと再生の象徴。[通]

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侘助

わびすけ
茶花の代表的椿 姿 小ぶりの一重・猪口咲き

小ぶりで一重の、猪口のように半開きに咲く椿。侘びの名を負い、茶花の椿として最も尊ばれる。蕾の固いものを一輪、咲く直前に生ける。慎ましい姿と清楚な風情が、侘びの席に最も映る。椿のなかの椿といえる品種。[通]

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吾亦紅

われもこう
バラ科 姿 暗紅の小穂

細い茎の先に、暗い紅の小さな花穂をぽつりとつける。地味だが趣ある姿が、秋の野の風情を最もよく体す。我も亦た紅(くれない)なり、と控えめに己を主張する名のとおり、華やかさを避ける茶花の心に深くかなう。秋草の取り合わせの要となる。[通]

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