茶の湯スフィア 索引茶花 / 梶

かじ / 夏

花ではなく葉が主役という珍しい茶花。葉裏の細毛が毛氈に貼りつき、紙以前は葉に文字を書いた。七夕には梶の葉に願いを書いて供える、短冊より古い作法があった。織女を『梶の葉姫』とも呼ぶ。五月の席に入れて夏・七夕を呼び込む。紙以前の世界の記憶を宿す葉。[通]

分類
クワ科の落葉高木。暖地に多く、高さ十メートルほど。葉は五裂または三裂、粗い短毛、雌雄異株
花・実
春から夏に淡緑色の花。果実は桑の実のような形
茶花としての特異
花ではなく葉が主役。葉一枚でこれだけの存在感を持つ植物は稀
古名・古字
(堅い皮をした木の意)/(左右対称に組まれた形)/中国の古書では。今の「梶」は本来「舟のかじ」の字を音が同じで流用したもの
七夕
七月七日の朝、芋の葉の露を集めて墨をすり、かじの葉に願いを書いて供えた。短冊・色紙よりも古い
織女の異名
かじの葉姫
深く知る ── はじめに

茶花のほとんどは花を見る。かじは違う。この木で床に据えられるのは葉である。しかもその葉は、ただ緑を添えるための添え物ではなく、紙が普及する以前、人が文字を書きつけていた素材そのものである。神代の衣、七夕の願い、勅撰集の和歌——かじの葉が背負っているものは、花の来歴とはまったく別の系統に属している。

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つながる項目
茶花 見立て 百合 卯花 鉄線 杜若 芍薬
出典

茶花vol.5(梶)/「はじまりの茶の湯学」茶花講義

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。