花ではなく葉が主役という珍しい茶花。葉裏の細毛が毛氈に貼りつき、紙以前は葉に文字を書いた。七夕には梶の葉に願いを書いて供える、短冊より古い作法があった。織女を『梶の葉姫』とも呼ぶ。五月の席に入れて夏・七夕を呼び込む。紙以前の世界の記憶を宿す葉。[通]
茶花のほとんどは花を見る。かじは違う。この木で床に据えられるのは葉である。しかもその葉は、ただ緑を添えるための添え物ではなく、紙が普及する以前、人が文字を書きつけていた素材そのものである。神代の衣、七夕の願い、勅撰集の和歌——かじの葉が背負っているものは、花の来歴とはまったく別の系統に属している。
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茶花vol.5(梶)/「はじまりの茶の湯学」茶花講義