茶の湯スフィア 索引茶花 / 杜若

杜若

かきつばた / 夏

水辺に青紫の花を開く。伊勢物語の東下り「かきつばた」の折句(から衣…)で名高く、尾形光琳の燕子花図屏風にも描かれた。古典と絵画の記憶を負う、初夏の水辺の花。[通]

分類
アヤメ科の多年草。日本ほか東アジアの水湿地に自生。初夏に花茎を立て、六弁の花を開く
見分け
葉に中肋脈がない(花菖蒲にはある)。外花被の基部の中央が白または黄(あやめは網目模様)
異名
顔佳花(かおよばな)・かおよぐさ/書付花(かきつけはな)/燕子花/翔燕花
名の由来
花汁を布に押し付けて染めたことから「書付花」→「かきつばた」【通説】
用途
古代の染料。紫に青味を帯びた「かきつばた色」に布を染めた
「杜若」の字
本来は別の草の漢名。誤用である。この字を当てた初見は『下学集』(文安元年・一四四四)
歌枕
三河国八橋。『伊勢物語』の在原業平「からころも」の折句による
深く知る ── はじめに

「いずれ あやめ かきつばた」——どちらも優れて選びかねるという意のこの語が示すとおり、あやめの仲間はよく似た花を咲かせる。だがその似た三種のなかで、かきつばたは華やかさで花菖蒲に譲り、そのかわり品格において勝ると古来評されてきた。画材や工芸の意匠に選ばれ続けたのはそのためである。名の由来、当てられた漢字、そして歌枕としての来歴——この花はどの角度から見ても、人の手が幾重にも意味を重ねてきた花である。

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つながる項目
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出典

伊藤敏子ほか『新版 茶花大事典』淡交社/「はじまりの茶の湯学」茶花一覧資料

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。