茶の湯スフィア 索引茶花 / 木槿

木槿

むくげ / 夏

夏、朝に開き夕にしぼむ一日花を、木全体では夏中咲き継ぐ。一輪の儚さと、咲き続ける生命力を併せもつ。夏茶花として最も尊ばれる花の一つ。品種が多く、底紅の宗旦木槿、純白の遠州木槿、祇園祭のころ咲く祇園守など、白い木槿が茶席に好まれる。[通]

分類
アオイ科の落葉低木。インド・中国が原産。葉は卵形で浅く三裂
花期
盛夏から初秋。一重または八重の淡紫・淡紅・白色。朝に開き夜には萎む一日花
茶の湯での位置
夏の花の主役。この一輪が入ることで、ほかの花も生きてくる
選び方
一重の白花系。垣根の紫・赤系や八重は品格の劣るものが多い
茶人の好み
宗旦むくげ(底紅の白花)/遠州むくげ(純白の大輪)
古名
きはちす(木波知須)。『倭名類聚抄』の和名。「むくげ」より古い
「むくげ」の初出
『下学集』(文安元年・一四四四)が「木槿」に「ムクゲ」の読みを載せる
深く知る ── はじめに

むくげは矛盾を一本の木に抱えている。一輪は一日で萎むのに、木全体は中夏から中秋まで次々と咲き続ける。その矛盾は名にも及んでいて、「槿」の字は「わずか」を意味し、別名「無窮花」の「無窮」は「きわまりない」を意味する。正反対の二語を同時に負っている花である。茶人が夏の主役にこの花を選んだ理由は、姿の美しさだけでは説明がつかない。

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つながる項目
宗旦木槿 遠州木槿 祇園守 無常 茶花
出典

茶花vol.5(むくげ)/「はじまりの茶の湯学」茶花講義

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。