茶の湯スフィア 索引茶花 / 福寿草

福寿草

ふくじゅそう / 冬

雪の残るころ、黄金色の花を地際に開く。名が福と寿を寿ぐため、正月の床に飾られ、新春を象徴する花とされた。本来の開花は早春だが、促成して正月に用いる。寒さのなかに春の兆しを告げる。[通]

分類
キンポウゲ科の多年草
自生
寒冷地を好み、日本の中部以北に多く自生する
本来の花期
早春。雪解けを待ちかね、雪を割って咲く。冬の花ではない
異名
元日草(朔日草)/報春花/福告草/福神草・福人草・福徳草/雪割草(一部地方の方言)
名の成立
近世。貝原益軒『大和本草』(宝永五年・一七〇八)に「フクツグ草トモ 元日草トモ」
薬効
根・茎・葉に強心作用がある。ただし栽培の始まりは薬用でなく観賞のため
茶の湯での位置
新春の床。ただし新暦の正月に咲かせるのは促成による
深く知る ── はじめに

早春、雪の残るなかに黄金色の花を地際に開く。菊に似た花で、背丈は低い。ところがこの花は、本来の花期ではない厳冬の正月に飾られる花として広く知られている。そのずれは、この花の生態ではなく、この花に与えられた名から生じた。めでたい名を負ったがゆえに、自然の摂理のほうを曲げられた——福寿草の来歴は、そういう筋道をたどる。

……

この続き(およそ3,100字)は、会員の方がお読みになれます。
史料の読み比べ、説の一覧、典拠の明示まで。月500円から。

入会のご案内 ──▸
つながる項目
季節の茶花 結柳 なずな 七草 葉牡丹
出典

伊藤敏子ほか『新版 茶花大事典』淡交社/「はじまりの茶の湯学」茶花一覧資料

球体でひらく ──▸ /  茶花の項目一覧 /  はじまりの茶の湯学
監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。