雪の残るころ、黄金色の花を地際に開く。名が福と寿を寿ぐため、正月の床に飾られ、新春を象徴する花とされた。本来の開花は早春だが、促成して正月に用いる。寒さのなかに春の兆しを告げる。[通]
早春、雪の残るなかに黄金色の花を地際に開く。菊に似た花で、背丈は低い。ところがこの花は、本来の花期ではない厳冬の正月に飾られる花として広く知られている。そのずれは、この花の生態ではなく、この花に与えられた名から生じた。めでたい名を負ったがゆえに、自然の摂理のほうを曲げられた——福寿草の来歴は、そういう筋道をたどる。
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伊藤敏子ほか『新版 茶花大事典』淡交社/「はじまりの茶の湯学」茶花一覧資料