茶の湯スフィア 索引料理 / 懐石

懐石

かいせき / 懐石

茶を最もよく味わうための食。腹を満たすためでなく、来るべき一碗の濃茶のために身体を調える——いわば『空腹を完成させる』食。料理は流れに沿って供される——飯・汁に始まり、向付・煮物椀・焼物・強肴と進み、箸洗・八寸を経て、湯桶・香の物で膳を結び、最後に主菓子で甘く締める。誇示でなく純化を、加算でなく引き算を選び切った食。[確/通]

本来は「会席」と記した。「懐石」は『南方録』が当てた字(温石に由来)で、利休の時代に一般的な語ではない
構成の原形
小堀遠州の壁書「一汁三菜附香の物 吸物並肴」——現在の会席の原形はここに出る
ただし
「但花の時 月の夜 雪の朝は 制外たるべし」——原則にこだわらなくてよい場合を、同じ一条で認めている
利休・織部の頃
『松屋会記』『天王寺屋会記』に本膳形式の名残。料理のあとに後段という宴があった
当時は種類が少なく重箱が主。焼物の鉢を多く使うことは少なかった
木具足打(きぐあしうち)——ヘギ木地の足の低い膳。今日の会席膳の原形
典拠
『山上宗二記』/遠州の壁書/遠州流七代 宗友『喫茶式』(寛政九年・一七九七 奥書)
深く知る ── はじめに

茶事の食が果たした役割は、献立の様式を作ったことだけではない。あらかじめ味を付けて客に出す——今日ではあたりまえのこの方法そのものが、茶の会席で始まったとされる。それ以前、人は調味料を手元で加減しながら食べていた。亭主が味を決めて供するという一点において、茶の湯は日本人の食のかたちを変えている。

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つながる項目
会席料理 精進料理 神人共食 一座建立 蕗の薹 菜の花 蕎麦 典座教訓 日本料理史の流れ 瓢亭 辻留
出典

熊倉功夫『日本料理の歴史』吉川弘文館/「はじまりの茶の湯学」懐石総論資料

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。