茶を最もよく味わうための食。腹を満たすためでなく、来るべき一碗の濃茶のために身体を調える——いわば『空腹を完成させる』食。料理は流れに沿って供される——飯・汁に始まり、向付・煮物椀・焼物・強肴と進み、箸洗・八寸を経て、湯桶・香の物で膳を結び、最後に主菓子で甘く締める。誇示でなく純化を、加算でなく引き算を選び切った食。[確/通]
茶事の食が果たした役割は、献立の様式を作ったことだけではない。あらかじめ味を付けて客に出す——今日ではあたりまえのこの方法そのものが、茶の会席で始まったとされる。それ以前、人は調味料を手元で加減しながら食べていた。亭主が味を決めて供するという一点において、茶の湯は日本人の食のかたちを変えている。
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熊倉功夫『日本料理の歴史』吉川弘文館/「はじまりの茶の湯学」懐石総論資料