二畳隅炉、室床、塗回しの土壁、皮付き葦の下地窓。京都大山崎の妙喜庵に現存し、現存茶室建築として最古、国宝。利休の侘びの極致を伝える。極小の空間を大宇宙にまで高めた、引き算の到達点。[確:現存・国宝]
利休の作と確証のある唯一の茶室として語られるが、実は確証がない。秀吉が山崎合戦の折に造らせたという伝承があるだけである。それでも待庵が特別なのは、現存する草庵茶室のなかで最も古く、二畳という極限の寸法に、後の茶室が使うことになる手法がほぼ出揃っているからである。隅を消し、天井を割り、荒壁に藁を残す——極小の空間を、大きく感じさせるための細工が、ここに集まっている。
……
この続き(およそ1,400字)は、会員の方がお読みになれます。
史料の読み比べ、説の一覧、典拠の明示まで。月500円から。
中村昌生『茶匠と建築』淡交社/「はじまりの茶の湯学」千利休総合資料(待庵)