茶の湯スフィア 索引思想 / 侘び

侘び

わび / 美意識

足るを知り、欠けたもの・簡素なもののうちに、かえって満ちた美を見出す心。武野紹鴎は『正直に慎しみ深く、おごらぬさまを侘という』と説いたと伝わる。豪華を尽くした書院の茶に対し、簡素を尊ぶ価値の転換であり、珠光に始まり紹鴎を経て、利休が茶の根本原理にまで高めた。[通]

系譜
珠光 → 紹鷗 → 利休と語られる。ただし三代の直接継承は成り立たない(珠光の没年一五〇二=紹鷗の生年)
淵源
連歌師心敬(一四〇六〜一四七五)の「冷え枯るる」。著作『ささめごと』
核心の一句
珠光『心の文』「心の下地によりてたけくらミて、後まて、ひへやせてこそ面白くあるへき也」
共通の否定
心敬「八月十五夜の満月のようなものは好ましくない」/珠光「月も雲間のなきは嫌にて候」
紹鷗の定義
「正直に慎しみ深く、おごらぬさまを侘という」と説いたと伝わる【伝承】
語の問題
「わび茶」を様式として定義したのは江戸期の言説であり、珠光・紹鷗・利休の時代に「わび茶」という語はない【要確認】
深く知る ── はじめに

侘びは「貧しさの美」ではない。少なくとも、それを起草した人々はそう言っていない。まず豊かさと品格を極め、そのうえで枯れた境地へ向かえ——珠光が『心の文』に書いたのは、順序を定めた厳格な段階論である。しかもこの構えは、茶の湯が独自に発明したものではなく、連歌の側から流れ込んできた。そして「わび茶」という言葉自体が、後の時代のものである。

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つながる項目
村田珠光 武野紹鴎 千利休 寂び 井戸茶碗 楽茶碗 小間 茶花 「火事は灰を持って逃げよ」
出典

村田珠光『心の文』/「はじまりの茶の湯学」思想総論資料

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。