茶の湯スフィア 索引道具 / 楽茶碗

楽茶碗

らく ぢゃわん / 茶碗

利休が長次郎に作らせた、轆轤を使わず手で捏ね箆で削り低温で焼く茶碗。わずかな歪みや手のあとが残る。黒一色に余分を削ぎ落とした黒楽は、侘びの思想を器そのものに結晶させた。見立てから創造へ——茶の湯のためだけに道具を新たに作る段階に踏み込んだ画期。大黒・無一物・俊寛などが代表作。[確:現存作]

創始
桃山時代(十六世紀)、樂家初代・長次郎。千利休の創意を受けて「樂茶碗」を創案した
技術のルーツ
中国明時代の三彩陶
最古の作
二彩獅子像(重要文化財)。腹部に「天正二年春 依(寵)命 長次良造之」の彫銘。天正二年=一五七四年
成形
手捏ね。轆轤を使わず指先だけで形をつくり、箆で削り上げる
焼成
内窯。家屋内の小規模な窯で七五〇〜一二〇〇度。山間の大窯で一度に大量に焼く一般の陶器とは正反対
当初の名
「今焼(いまやき)」——今焼かれた茶碗、新しい茶碗
序列
「一 樂、二 萩、三 唐津」
深く知る ── はじめに

樂茶碗は、ほかの焼物とは成り立ちが違う。多くの焼物が産地の名で呼ばれ、その土地の多くの手によって発展してきたのに対し、樂焼は「樂家の当主」という個人の作品の連続によって数百年続いてきた。産地ではなく、家である。そして生まれたときには名がなかった。名がなかったということは、前例がなかったということである。

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つながる項目
長次郎 千利休 侘び 井戸茶碗 茶碗 瀬戸・美濃の茶碗 樂家歴代 樂常慶 樂道入 田中宗慶
出典

樂美術館編『樂歴代』淡交社/茶碗物語資料

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監修・武井宗道。通説と、史料から確かめられることを分けて記しています。