濃茶の抹茶を入れる小壺。茶碗と並ぶ主役の道具で、唐物の名品が東山御物以来珍重された。肩衝・茄子・文琳など形で分類される。名物には一国一城に値する価値が与えられ、信長・秀吉の蒐集の中心となった。仕覆という裂の袋に納め、銘と伝来を負う。[通]
茶席で最も重い道具のひとつである。濃茶を入れるための小さな壺で、床の掛物と並んで、その日の茶会の主題を担う。だがもともとは、中国で薬や油を入れていたただの雑器だった。日本人がそこに美を見出し、格付けを与え、やがて一国一城に値するものにまで押し上げた。茶入を読むとは、形と釉と土を見ることであり、同時に、誰の手を経てきたかという履歴を読むことでもある。
……
この続き(およそ2,100字)は、会員の方がお読みになれます。
史料の読み比べ、説の一覧、典拠の明示まで。月500円から。
小田栄一『茶入』/「はじまりの茶の湯学」名物茶入の履歴書資料